フリーランスエンジニアのためのプロトタイピングの基本を解説
プロトタイピングは、システム開発で用いられる手法の一種です。試作を意味する英単語の「Prototyping」が語源です。完成品の開発にいきなり取り掛かるのではなく、開発の初期の段階でプロトタイプと呼ばれる試作型のモデルを作成します。プロトタイプを公開し、システムの機能やインターフェースなどをクライアントに確認してもらいながら、真の要件を引き出します。
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プロトタイピングの歴史
プロトタイピングの主な特徴
プロトタイプを操作した顧客は、システムに対する要求や評価などをエンジニアにフィードバックします。エンジニアはフィードバックをもとに、プロトタイプからの改善点などを完成品に反映させます。大規模なプロジェクトなどの場合は、開発の過程において複数のプロトタイプのフィードバックが実施される場合もあります。いきなり本番をスタートするのではなく、不完全なプロトタイプを少しずつ煮詰めていき、フィードバックを反映させながら完成品を作っていくプロセスが、プロトタイピングの特徴です。
プロトタイピングのメリット
①顧客のニーズをつかみやすくなる
システム開発でプロトタイピングを用いると、顧客のニーズを正確につかみやすくなるメリットがあります。案件を受注した後、開発がだいぶ進んでから顧客にシステムを公開した場合、顧客がシステムの内容を気に入らなければ、いわゆる手戻りが発生して開発が後戻りしやすくなります。この点、プロトタイピングによってプロトタイプを作成して顧客に公開すれば、顧客のフィードバックを早い段階で得ることができます。それによって、SEと顧客の間にある認識のズレなどを修正でき、顧客の正確なニーズをつかみやすくなります。
プロトタイピングによって顧客のニーズを把握できれば、認識のズレを修正するために手戻りをしなければならないリスクが減少します。また、ニーズを的確につかんだシステム開発に成功しやすくなるので、顧客の満足度も高まります。
② システムのイメージを共有できる
プロトタイピングを用いると、早い段階で開発メンバーがイメージを共有できます。複数のメンバーで開発に取り組む場合、開発物の姿が曖昧な初期の段階においては、チームのメンバーそれぞれの認識やイメージにズレが生じることがあります。ズレが生じたままで開発を進めていくと、それぞれが受け持ったポジションを共有する段階になって初めてズレがあることに気づき、それを修正するために多くの時間や手間が必要になる場合が少なくありません。
プロトタイピングはプロジェクトの初期の段階において、実際にプロトタイプに触れて検証することが可能です。それによって、開発のメンバーが完成品のイメージを的確に把握したり、重要な部分を共有したりできます。
プロトタイピングのデメリット
①開発スピードが鈍くなる可能性がある
プロトタイピングを用いるデメリットの一つは、プロトタイプを作成して検証することに時間を取られることです。プロトタイプの開発や検証に力を入れすぎると、開発スピードが鈍化するリスクがあります。開発スピードが鈍くなると、プロジェクトのメンバーの士気に影響があるだけでなく、顧客が不満を抱く可能性があります。プロトタイピングを実施する場合は、プロトタイプにどれだけの労力を割くかのバランス感覚が重要です。
②大規模なシステムには不向き
プロトタイピングは大規模なシステム開発には不向きというデメリットがあります。プロトタイピングにおいては、プロトタイプの検証とフィードバックが重要ですが、大規模なシステムの場合はプロトタイプに関わる利害関係者の数が多くなります。多くの利害関係者の意見や評価を調整するには、膨大な時間がかかります。それによって開発の効率が落ちてしまうリスクがあるため、プロトタイピングは大規模なシステム開発とはあまり相性がよくありません。
まとめ ーフリーランスのためのプロトタイピングの基本知識-
プロトタイピングとは、初めから完成品の開発に取り掛かるのではなく、プロトタイプと呼ばれる試作品を開発して検証やフィードバックを行い、開発の精度を高めていく手法です。プロトタイピングはIT分野以外でも古くから用いられてきた手法ですが、システム開発においては顧客のニーズをつかみやすくなる、システムのイメージを共有しやすいなどのメリットがあります。一方、プロトタイプの開発に力を入れすぎると開発スピードが鈍くなる、大規模なシステム開発とは相性がよくないなどのデメリットもあります。プロトタイピングのメリットとデメリットを把握しつつ、開発手法の選択肢の一つとして活用していきましょう。
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